JISの取り組み
JIS(日本産業規格)の概要
日本産業規格(Japanese Industrial Standards 略してJIS)は、
"産業標準化法"に
基づいて主務大臣によって制定される我が国の
産業製品に関する規格や測定法など
が定められた日本の国家規格のことです。
自動車や電化製品などの産業製品生産に関するものから、文字コードやプログラムコードといった情報処理、サービスに関する規格などもあります。その目的は国家規格である。
その目的は、産業標準化法第1条により
-
経済・社会活動の利便性の確保(互換性の確保等)
- 生産の効率化(品種削減を通じての量産化等)
- 公正性を確保(消費者の利益の確保、取引の単純化等)
- 技術進歩の促進(新しい知識の創造や新技術の開発・普及の支援等)
- 安全や健康の保持
- 環境の保全等
日本粘着テープ工業会(略:日粘工)のJISへの取り組み
1) 日粘工は、粘着テープに関するJIS規格作成の原案作成団体である。
2) 日粘工では下記16種のJISを管掌している。
No |
規格No. |
名称 |
最新改正年月 |
1 |
JIS A6112 |
住宅用両面粘着防水テープ |
2019/02/20 |
2 |
JJIS C2017 |
電気絶縁用粘着テープ試験方法 |
2011/09/20 |
3 |
JIS C2336 |
電気絶縁用ポリ塩化ビニル粘着テープ |
2012/07/20 |
4 |
JIS C2338 |
電気絶縁用ポリエステル粘着テープ |
2012/07/20 |
5 |
JIS Z0109 |
粘着テープ・粘着シート用語 |
2015/10/20 |
6 |
JIS Z0237 |
粘着テープ・粘着シート試験方法 |
2022/01/20 |
7 |
JIS Z1522 |
セロハン粘着テープ |
2009/12/21 |
8 |
JIS Z1523 |
紙粘着テープ |
2009/12/21 |
9 |
JIS Z1524 |
包装用布粘着テープ |
2009/12/21 |
10 |
JIS Z1525 |
包装用ポリ塩化ビニル粘着テープ |
2004/01/20 |
11 |
JIS Z1528 |
両面粘着テープ |
2009/12/21 |
12 |
JIS Z1529 |
印刷用粘着フィルム |
2009/12/21 |
13 |
JIS Z1538 |
印刷用粘着紙 |
2009/12/21 |
14 |
JIS Z1539 |
包装用ポリプロピレン粘着テープ |
2009/12/21 |
15 |
JIS Z1541 |
超強力両面粘着テープ |
2009/12/21 |
16 |
JIS Z1901 |
防食用ポリ塩化ビニル粘着テープ |
2009/12/21 |
※JIS 改正及び廃止
JISは、産業標準化法第15条の規定で制定、改正後5年を経過する日までに
見直しを実施する必要がある。
この度JIS Z0237を改正し、2022年1月20日に公示されました。
主な改正点は、次のとおり。
a) 試験結果の数値の丸め方を、JIS Z 8401の引用ではなく四捨五入
によって丸めるように変更する。
b) 厚さの測定器について、定荷重式のキャリパーゲージ(測定器A)と
バネ式のダイヤルゲージ(測定器B)を分けて規定する。
c)測定器Bについて、下限を20kPaまで広げ、測定圧力を20~60kPaとする。
d)試験板の表面粗さRaの規定を、50±25nmから15~75nmに変更する。
e)試験板の洗浄用の布を、“ティッシュペーパー”から“洗浄用紙製品”に変更する。
f)保持力試験について、試験片の貼付け面積を、“幅12±0.5mm、長さ12±0.5mm”から
“幅8~25mm、幅許容差±0.5 mmの実使用幅、長さ8~25mm、長さ許容差±0.5 mm
の実使用長さ”に変更する。
3)国際規格の動向
日粘工は、海外では通称JATMAと呼ばれているが、PSTC(米国の工業会)、
AFERA(欧州の工業会)、およびJATMAが協力して粘着テープの試験方法の
国際規格化(ISO化)の検討を行い、2007年12月に以下の3試験法がISOと
して制定された。
ISO 29862 粘着力の試験方法
ISO 29863 保持力の試験方法
ISO 29864 引張り強さと伸びの試験方法
4)JIS規格のISO規格への整合と見直し
粘着テープの試験法で主要な3試験法が2007年にISO化されたことに伴い、
従来のJISをISOに整合する必要があり、関係するJISの10規格を2009年に
改正した。
5)引きはがし粘着力試験方法の注意点
JIS Z 0237(2000年版)の引きはがし粘着力は、粘着テープを試験板にローラ
圧着後、5分以上静置してから測定を開始することになっていたが、ISOに
準拠した2009年版のJISは、ローラ圧着後1分以内に測定を開始することに
なっている。しかし、圧着直後は粘着力の上昇が大きいことが実験的に
明らかになっており、測定開始までの時間差によるデータのばらつきが
生じやすい。そこで、この規定内でより安定したデータを得るためには、
ローラ圧着後、50~60秒後に測定を開始することが望ましい。
(この内容は、JIS Z 0237(2009年版)の解説に記載してあります。)