環境問題への取り組み


日本粘着テープ工業会(略:日粘工)の環境問題への取り組みは、以下の3つに大別されます。

  1. 政府による特定化学物質の排出量削減管理への対応
      1)VOC(揮発性有機化合物)削減対策
      2)PRTR(特定化学物質の排出量・移動量報告制度)の推進管理
  2. 環境規制、化学物質管理制度への対応<例:EUの環境規制物質報告制度(REACH、RoHS)対応処理>


  3.   製品含有化学物質の管理および情報伝達・開示に関するガイダンスー粘着テープ、シートの作成


  4. エコマーク、グリーンマーク認証に関する業界対応



  1. 政府(環境省、経済産業省)による特定化学物質の排出量削減管理への対応

      1)VOC(Volatile OrganicCompounds 揮発性有機化合物)削減対策について
    • 大気汚染防止法改正公布(平成16年5月)、施工(同17年4月)
    • 施工内容 VOCの総量を平成12年度から平成22年度までに30%削減する。
    • 経産省においては、業界の自主管理体制作りを推奨し、法規制と自主取り組みの
      ベスト・ミックス化を目指している。
    • 日粘工の対応
      VOC削減分科会(技術部会傘下の部会)を編成して対応
      平成17年度より経産省VOCアンケート報告実施
      (会員:15社、賛助会員1社)
      平成20年度に経産省の自主管理団体加入
      平成22年以降も継続してVOC使用量、大気排出量の数値管理を行っており、削減率では自主管理加入団体中トップの成績である。




      2)PRTR(Pollutant Releaseand Transfer Register)推進管理
      経産省製造産業局化学 物質管理課、環境省環境保健部環境安全課に
      よる年度毎の特定化学物質の排出量・移動量報告管理制度
    • 法施工当初、日粘工でPRTR排出量算出マニュアル作成団体に指定され、
      マニュアルを作成した。
    • 当業界は、溶剤使用量が多く、施工年度当初は、排出量順位の上位企業
      多かったが、VOC削減対策に合わせて、業界努力が実り、目標の平成22年
      度では、順位を大幅にダウンさせた企業が多い。
    • 引き続き、削減管理の推進を企業に働きかけ、業界の環境管理推進に
      努力します。


  2. 環境規制、化学物質管理制度への対応
    1)EUのREACH規則
    • 欧州の化学物質管理規則で、2007年6月に発行となった規則
    • 化学物質の登録、評価、認可、制限を統合した新たな化学物質管理規則
    • 化学物質のEUに対する輸出だけでなく、成型品メーカーも規制対象となる。


    2)REACH規則に対する粘着テープの対応
    • 当初のRIP3では、アーティクルに含まれる調剤(意図された放出)に
      分類され総てのテープが規制対象となっていた。
    • 欧、日、米の粘着テープ工業会が協力して、粘着テープは意図された
      放出は無く成型品(アーティクル)と主張し、ほぼ受け入れられた。
    • 意図された放出物として薬剤や香料を含有する粘着テープおよび基材が
      ない粘着剤単体(充填剤なし)は調剤とされたが、それ以外の粘着テー
      プは、アーティクルと認められ規制対象から除外された。


    3)製品含有化学物質に関する報告書の作成について
    • 日粘工の技術部会は、2009年11月にJAMP推進分科会を編成し、アーティ
      クルマネージメント推進協議会の推奨を受けて、2010年12月に「REACH      規則への粘着テープ業界対応ガイダンス(第1版)」を発行した。
    • その後、アーティクルマネージメント推進協議会の「製品含有化学物質      管理ガイドライン(第3版)」改正に伴い、日粘工のJAMP推進分科会は、      ガイダンスの改正を行い、2013年12月に「REACH規則への粘着テープ業界      対応ガイダンス(第2版)」を発行した。
    • 2019年10月に製品含有化学物質管理のための ガイダンス第2版発行から6年を
      経過する中で、 製品含有化学物質 管理ガイドラインの改訂、アーティクルマネジ メント推進協議会(以下 JAMP という) から提供されている情報伝達ツールの変更 へ対応した新たなガイダンスが 必要となり、第2版の内容を大幅に見直し、 「化学 物質規制への粘着テープ業界 対応ガイダンス(第3版)」と「製品含有化学物質の管理 および情報伝達・開示に関するガイダンス ― 粘着テープ・粘着シートを第3版の附属 書として発行した。





    ChemSHERPA by JAMPのダウンロードはこちらガイダンス附属書のダウンロードはこちら


    <備考>
    • 粘着テープを分析するに当たり、テープの支持体(基材)と粘着剤を
      完全に分離することは難しく、使用上においても容易に分離できないため、
      当工業会では粘着テープは「一体な成形品」として扱うことを基本的な
      考え方としております。


  3. エコマーク、グリーンマーク認証に関する対応
      1)エコマークについては、紙基材の粘着テープについて、
      古紙の使用量増加を狙いに認定基準作成に協力してきた。
    • クラフト粘着テープのエコマーク取得基準
      基材 :古紙配合率40%以上、
      粘着剤:有機溶剤の使用無しが基準

      2)グリーンマーク
    • (財)古紙再生促進センターの認定事業である。粘着テープでは、
      紙基材でクラフト粘着テープがグリーンマーク取得品となっている。
    • 日粘工会員会社が個々に認定活動を実施している。